労働者の過半数代表者
2014.05今回は、36協定をはじめ労使協定を会社と締結したり、就業規則の作成や変更の際に意見聴取する「労働者の過半数代表者」について解説します。
1. 労働者の過半数代表者とは?
事業場における労働者の過半数の信任を得て、会社と36協定等の労使協定を締結し、または就業規則の作成等にあたり、意見を言う者のことです。真に会社側と対等の関係に立って、当該事業場の労働者全体の立場から判断し得る者でなければなりません。
2. 労働者の過半数代表者になれない者
1で記載の通り、会社と対等の関係で、労働者全体の立場に立たなければなりませんので、労働者の過半数代表者は次の要件を満たしていなければなりません。
- 労働基準法上の管理監督の地位にある者でないこと
- 人事や会社の機密を扱う業務に就く者でないこと
- 選任にあたり、法に規定する労使協定等を会社と締結する者を選出することを明確にして、民主的な方法で労働者の過半数の信任を得た者であること
3. 労働者の過半数代表者の「労働者」とは?
労働者の過半数代表者を選任するにあたり、労働者とはどのような括りで考えればよいのかが問題になります。ここでいう「労働者」とは、労働基準法でいう事業場で労働するすべての者となります。従って、労使協定を締結する際に、その協定の範囲が限定的で対象とならない労働者がいたとしても、労働者の範囲を限定することなく、過半数を算定するときには、在籍するすべての労働者を基礎として考えます。ですから労働者の過半数代表者とはなれない管理・監督の地位にある者や人事・機密の業務に就く者、休業・休職中の者、出向中の者なども労働者として人数に含みます。
これは36協定等の労使協定等の締結は、当該事業場の労働者全体の意見を反映させようということが目的であるためです。
4. 労働者の過半数代表者の選任
会社に本社や支店、工場などの事業場がある場合は、それぞれの事業場が適用事業場となります。36協定や就業規則の届出は、それぞれの事業所ごとに行う必要がありますので、それぞれの事業場ごとに労働者の過半数代表者を選任することになります。
5. 選任の方法
選任の方法は、必ずしも投票によるものにはよらず、挙手や自薦、他薦による回覧等での承認などの手続きでもよく、会社側の意向によって選出され、または指名された者でないことが必要です。
6. 労働者の過半数代表の任期
労働者の過半数代表者の任期ですが、そもそも労働者の過半数代表者は、労使協定を締結する日における労働者数を基礎として、その過半数の信任を得ている者と考えるものとされており、原則は、労使協定を締結する都度選任することとされています。しかし、労働者の過半数代表者について適正な規定を定め制度化し定着を図ることは、不当な干渉や介入ではなく、一定期間労働者代表が変わらないことが、労働者の意思を反映するうえで好ましいと言えます。そこで権限、選任手続、労使協議の方法等を規定化し、民主的な手続きで選任された場合には、その選任当時の労働者構成に大きな変動がない限り、例えば1年間の任期制をとることは差支えないものとされています。また、任期性をとっていた労働者の過半数代表が退職した場合、既に締結した労使協定の効力は変わりません。新たな代表者で再度、協定を締結し直す必要はありません。