社会保険労務士法人 トレイン

人事・労務便り
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雇用保険の適用拡大

2016.12

今年も年の瀬を迎え、何かとあわただしい時季になりました。例年よりも到来が早く、かつ寒い冬のようです。体調管理に留意し残りわずかとなった今年を乗り切りたいものです。さて、来年1月1日から雇用保険の被保険者となる範囲が拡大されます。今回はその内容について解説をします。

1.雇用保険の適用拡大

平成29年1月1日より65歳以上の労働者で雇用保険の被保険者でなかった者が、雇用保険の被保険者の要件(1週間の労働時間が20時間以上で、かつ31日以上雇用する見込みがある)を満たす場合は、すべて雇用保険の被保険者になります。

2.65歳以上の労働者で新たに雇用保険の被保険となるケースとは?

1週間の労働時間が20時間以上、かつ31日以上雇用される見込みの者で、次のケースに該当する者が新たに雇用保険の被保険者(高年齢被保険者)となります。

  1. 平成29年1月1日以降に新たに雇用される65歳以上の者
  2. 平成28年12月末までに雇用されており、平成29年1月1日以降も継続して雇用される65歳以上の者で雇用保険の被保険者になっていないかった者
※平成28年12月末時点ですでに雇用保険の被保険者(高年齢継続被保険者)となっている者は、時に変更はなく、そのまま被保険者資格が継続します。

3.適用拡大により雇用保険料の取扱いはどうなるのか?

現在、雇用保険の保険料は、4月1日現在で64歳以上の被保険者については、本人負担分、会社負担分ともに免除となっております。今回の適用拡大により被保険者となる者の保険料も同様に免除となります。ただし、免除の期間は、平成31年3月31日までとなり、それ以降は賃金額に保険料率を乗じた保険料が徴収されます。従いまして現在の免除対象者となる64歳以上の被保険者の免除も平成31年3月31日でなくなることになります。

4.65歳以上の被保険者が離職した場合の給付はどうなる?

65歳以上の被保険者が離職し、その後再就職の意思があり離職前1年間に6か月以上雇用保険の被保険者期間がある者が失業の認定を受ければ、今までと同様、高年齢求職者給付が支給されます。給付額は次の通りとなります。

被保険者であった期間 1年未満 1年以上
給付日数 基本手当日額の30日分 基本手当日額の50日分

今まで65歳前から引き続き雇用されている65歳以上の者が離職した場合のみ受給できた高年齢求職者給付が、来年以降、65歳以降新たに雇用され被保険者になり離職した者も受給できるようになります。雇用継続給付についても一般の被保険者と同様、要件を満たせば受給することができます。
以上のように雇用保険制度も着実に65歳以降も働くことを前提に制度見直しがされています。