雇用促進税制の要件が一部変更になりました
2016.05平成28年度の税制改正により、一部変更になった「雇用促進税制」について解説します。「雇用促進税制」とは、一定の要件のもと企業の雇用保険加入者数を増やすことによって法人税の税額控除を受けることができます。しかし、今年度からは、地域に重点化され、非常に限定された制度となりました。
1.制度概要(平成28年度以降の(※1)適用年度を開始する場合)
適用年度中に雇用保険被保険者数を5人以上(中小企業は2人以上)
かつ10%以上増加させるなど一定の要件を満たした事業主が同意雇用開発地域(※2)(28道府県 102地域)において無期雇用かつフルタイムの雇用者数の増加した場合1人あたり40万円の税額控除が受けられます。
(※2)地域雇用開発促進法(昭和62年法律23号)北海道から沖縄までの28道府県の特定された地域です。詳しくは、厚生労働省HP又は弊所までお問い合わせください。
2.対象となる事業主の要件
- 青色申告書を行っている事業主であること
- 適用年度とその前の事業年度に、事業主都合による離職者がいないこと
- 適用年度に雇用保険一般被保険者数(※3)が5人以上(中小企業等は2人以上)
かつ10%以上増加させていること (※3)当期末の雇用保険被保険者数-当期首の前日の雇用保険被保険者数 - 適用年度における給与額等の支給額が、前事業年度の給与と比較して30%以上であること
- 風俗営業等を営む事業主ではないこと
3.手続きの流れ
適用年度開始時計画書の提出(適用年度開始後又は地方活力向上地域特定業務施設整備(※1)計画認定後、管轄するハローワークに2カ月以内に提出)
⇒適用年度中(採用活動)
⇒適用年度終了時達成状況報告の提出(適用年度終了後、管轄するハローワークに2カ月以内に提出)
⇒ハローワークおよび労働局にて確認・認定(事業所に認定後の計画書が返送される)
⇒税務署に申告(確定申告書等に労働局の認定を受けた達成状況の報告を添付して提出してください)
キャリアアップ助成金の改正
有期契約労働者、短時間労働者、派遣労働者を企業内でのキャリアアップ等を推進するため正社員化、人材育成、処遇改善を実施した事業主に対して助成するものです。平成28年4月からキャリアアップ助成金が6コースから3コースへ変更となりました。※詳細については、弊所までお問い合わせください。
- 正社員化コース(有期契約労働者を正規雇用労働者・多様な正社員等に転換又は直接雇用した場合)
- 人材育成コース(有期契約労働者等に一般職業訓練(Off-JT)有期実習型訓練(「ジョブカードを活用したOff-JT+OJT」)中長期的キャリア形成訓練(専門的・実践的な教育訓練)を行った場合)
- 処遇改善コース(・すべて又は一部の基本給の賃金テーブルを改定し、2%以上増額させた場合・正規雇用労働者との共通の処遇制度を導入・適用した場合・週所定労働時間を25時間未満から30時間以上に延長し社会保険を適用した場合