社会保険労務士法人 トレイン

人事・労務便り
人事・労務のポイント

入社手続きについて

2016.04

新入社員を迎える会社では、受け入れ準備が進んでいるかと思います。今月は、入社手続きについて、改めて確認していきたいと思います。

労働条件の説明と雇用契約書の作成

労働基準法において会社は社員に対して、労働条件を書面にて明示することが義務づけられています。両者の認識の違いからトラブルにならないよう、「労働条件通知書」又は「雇用契約書」を取り交わしておきましょう。

また、就業規則についても周知義務がありますので、社内に掲示または社内イントラなどで公開するなどの方法で行う必要があります。

提出書類と各種保険の加入手続き

入社の際に必要な提出書類としては、(1)入社誓約書(2)卒業証明書(新卒の場合)(3)身元保証書(4)住民票記載事項証明書(5)通勤経路届(6)給与所得者の扶養控除等(異動)申告書(7)年金手帳(20歳以上の者)(8)個人番号(マイナンバー)取扱いに関する同意書(9)雇用保険被保険者証(前職がある場合)(10)源泉徴収票(本年中に別の会社から給与を受けていた場合)が挙げられます。(3)の身元保証書の期間は、就業規則などに規定があれば、最長5年、なければ3年となります。(9)のマイナンバーについては、平成28年度から雇用保険の加入手続きで、必ず必要なものとなっています。もし、提出することを拒まれた場合、現時点では空欄のままでも手続きをすることは可能ですが、会社が提出を求めた何かしらの記録を保存することが求められています。始まったばかりの制度のため今後も課題が出てくることが予想されますから、今後の動きに注目です。外国人を雇い入れた場合は、在留カードの提示をしてもらい「氏名、在留資格、在留期間」の確認をします。

雇入れ時の健康診断の実施

労働安全衛生法により、雇入れ時の健康診断が義務づけられています。ただし、医師による健康診断を受けた後、3ヶ月を経過しない者を雇入れる場合においては、その結果を証明する書面を提出することにより、雇入れ健康診断に相当する項目については、省略が可能です。この健康診断費用については、定期健康診断と同様に会社の負担となります。なお診断結果に何らかの疾病が発見されたとしても、その疾病が業務に直接影響を及ぼす場合でない限り、採用取消等は認められませんのでご注意ください。

様々な研修の実施

社員に対してはその従事する業務に関する「安全又は衛生のための教育」を行うことが義務付けられています。(労働安全衛生法35条)例えば、整理・整頓及び清潔に関することや事故時における応急措置及び退避に関する研修となります。この研修は全ての従業員について行う必要があり、パートタイマーなどの短時間労働者であっても同様です。新入社員を対象にする研修では、その組織の一員として必要な知識やマナーの基本を身につけてもらうことが目的です。現在、パソコンやスマホの普及により、ビジネスEメール研修、SNS研修、情報セキュリティー研修等が重要視されるようになりました。パスワードをかけて添付書類を送るなどビジネスマナーや注意事項を研修プランに盛り込みます。電子ツールは便利な反面、使い方を間違えると会社の信用を失うなど及ぼす影響は計り知れません。コンプライアンスの観点からも重要な研修と言えます。

※3月から4月にかけて入社・退社が、全体的に多い季節です。離職票や健康保険証の発行に、時間がかかることが予想されています。
 大変申し訳ありませんが、あらかじめご了承いただきますよう、何卒よろしくお願いいたします。