社会保険労務士法人 トレイン

人事・労務便り
人事・労務のポイント

外国人雇用(その1 在留資格の基礎知識)

2019.05

今年の4月1日より入国管理及び難民認定法(以下「入管法」という)が改正され、新しい在留資格 制度の適用が始まりました。今回から数回に分けてこの新しい在留資格による外国人雇用を中心に、外国人雇用の基礎的な内容、ポイントを解説します。

1.入管法改正の背景

入管法改正の理由は、現在の少子高齢化とそれに伴う人手不足にあります。特に人手が不足している業界・業種について、外国人を今後5年間で34万人、労働力として受け入れることにより人手不足を解消し、また厚生年金被保険者として年金財政維持にも寄与してもらおうというものです。

2.大きな改正内容

2019年3月までの既存の在留資格は、そのほとんどが一定の専門的知識や技能が求められ、また就労できる業務が限定的で、「技能実習」を除いて、特に人手不足の業界、業種について外国人を受け入れることが困難でした。そこで法改正で新たな在留資格(特定技能)を追加し、これらの業界、業種で外国人労働者の受け入れをし易くする内容となっています。

3.在留資格とは?

中長期滞在の外国人は日本に入国し滞在する許可とは別に、日本で滞在中に活動する資格が必要で、これを「在留資格」と言い、入国管理局に許可申請を行います。在留資格ごとに、日本での活動期間(在留期間)が定められています。なお、日本に入国するためにはビザ(査証)が必要で、外国人の母国の日本大使館に申請を行い、ビザの発給を受けます。在留資格と査証を一緒くたにビザということがよくあります。

4.従来からの在留資格

2019年3月時点での在留資格は、高度専門職、技術、人文知識、国際業務、技能実習、留学、研修、特定活動、永住者など合計28資格となっており、4月から新たに「特定技能」が追加され29種類となります。在留資格には、法令により指定された特定の業務に就労できるもの、就労不可のもの、制限なく就労できるものがあり、それぞれには、在留期間(在留資格の活動のため日本に在留できる期間)が定められております。

5.資格外活動について

在留資格は、厳格にその活動範囲が限定され、指定された活動以外にその活動を阻害しない範囲で収入を伴う活動を行う場合は、資格外活動の許可が必要です。資格外活動には、「留学」や「家族滞在」、また日本での就職活動を行うなどの「特定活動」などの在留資格の外国人が、アルバイトをする場合などがこれにあたります。「留学」や「家族滞在」では、就労先を特定せず包括的に許可を申請することができますが、就労可能な時間(1週28時間以内、1日8時間以内)が法令で定められていますので、その時間を超えて就労することはできません。

6.在留資格の確認

在留資格は、外国人労働者が所有する在留カードの提示を受け、その記載内容で確認できます。その他、氏名、生年月日、国籍、住所、在留期間などが記載されています。在留カードは、中長期滞在者に対し、日本への上陸許可や在留資格の変更申請の際に、入国管理局より交付されます。