新入社員を迎えるにあたり
2019.04今年も早いもので4月となり、新卒、既卒の新入社員を迎える企業も多いと思います。まだまだ人手不足の中で貴重な戦力を迎えるにあたり、1日も早く仕事に慣れ戦力となってもらうことはもちろんですが、入社にあたっての手続きや研修をきちんと行い、新入社員に雇用に対する会社の姿勢や考え方を明確に示しておくことも必要です。特に新卒社員は、社会人としてどこの会社にも染まっていないまっさらな状態で入社しきます。会社のビジョンや社員に対する考え方を植え付ける良い機会です。今回は、社労士目線で新入社員にぜひ行ってほしい事柄を解説します。
1.労働契約書(労働条件通知書)の締結、身元保証書の取得
当たり前のことではありますが、労働契約書または労働条件通知書の締結・交付は厳格に行います。労働契約書の内容は、法定の記載内容を網羅し、きめ細かな内容のものを作成します。
身元保証書についてもしっかり身元保証人の実印の押印されたものを提出してもらいましょう。これらの書類は、事前に郵送で送付し、入社日に持参してもらうパターンが多いと思いますが、新入社員やその家族に対し、社員の雇用に対し厳格でキチンとした会社であることを強く印象付けます。
2.会社のビジョンや社会的使命、会社にとって価値ある社員とは、などを理解させます
既に入社説明会や就職活動で会社のビジョンや使命を研究しているとは思いますが、それが正しい理解に基づいているかどうか怪しいものです。再度、会社が目指すものや社会的役割などを十分説明し、それらを達成するために会社にとって価値ある社員とはどのような社員か、どのような社員が評価せれるか、などを理解し、実際の業務にどのような姿勢であたるべきかを考えてもらいます。
3.労働時間や休日・休暇の概念を植え付ける
話題の働き方改革法が施行されます。会社で働くにあたって、労働時間とは?休日とは?休暇とは?といった基本的な概念や会社の考え方を入社時に植え付けます。特に労働時間とは、仕事をした時間であって、会社に滞在した時間ではないことを入社のときに理解させます。その上で、会社が進める働き方改革を説明し、理解してもらい業務に就いてもらいます。
4.給与・賞与の基本を説明する
給与について、その構成や給与から控除されるもの、所得税の決定方法や住民税など基本的な仕組みを理解させます。賞与とはどのような意味を持つものなのか、また、社員の給与や賞与の額はどのように決定されるか、会社の人事評価制度はどのようなもので給与にどのようにリンクしているのか、などを2で述べた内容に絡めて入社時に説明するべきと考えます。
5.就業規則の説明を
社員にとって会社に就業規則があるのはあたりまえ。就業規則がない会社や自由に見ることのできない会社はブラック。これは最近の社員の就業規則に対するあたりまえの感覚です。入社時に就業規則を周知することは必ず行うべきと考えます。本通信1~4の内容を一通り植え付けた上で、就業規則の説明、周知を行うと効果的です。
併せてハラスメント被害にあった際の対応や相談窓口などの社内体制についても説明されると良いと思います。
以上、ビジネスマナーや社会人心得、業務または業界知識などの新人研修は良く行われますが、今回解説のような研修で行う企業はほとんどないと思います。これらの内容を行うと「まずはしっかりした良い会社に入社した」と新入社員は思うのではないでしょうか。折角採用した優秀な人材にしっかりとした認識を植え付け、会社に定着させることで、既存社員に対する相乗効果も生まれるかもしれません。