社会保険労務士法人 トレイン

人事・労務便り
人事・労務のポイント

令和5年主な制度改正

2023.1

早いもので今年も残りわずかとなりました。今年最後の今回は、来年行われる労務関連の制度改正と社員の仕事に向かう姿勢と職業能力の再開発(リスキリング)について触れました。

1.月60時間を超える時間外労働の割増賃金の割増率の引き上げ

2.給与のデジタル(電子マネー)支払いが可能となります

社員の「リスキリング」を考える

とある日の当社での私と勤続6年で社労士資格を有する社員Aとの会話です。

私:
「Aさん、それだけどなんでそんなやり方してるの?時間もかかるし間違えもおこるのでは?」
A:
「前任社員からこのように引継いだのでその通りやってます。」
私:
「Aさん、この前やってもらったこれだけど、ここがおかしくない?」
A:
「そうですね。でも所長の指示がそうでしたので 、指示通りやったんですけど。。。」

何も考えず、私の指示の間違いに気づくこともなく、ただ言われた通り業務を作業として行い中堅社員(期待していた社員なのですが。。。)とのやり取りに愕然としました。

クライアントに対し、働き方改革推進の手伝いする社労士事務所であるからこそ、そこで働く者は、「常に今のやり方が本当に正しいのかを考え、業務を効率化し、生産性を高めてワークライフバランスの実践をしなければ」、と言ってきたつもりでした。

考えない社員は、業務に無駄が多く、また、自分から積極的に情報を収集や知識を習得するということをしないためミスも多いものです。多分、仕事はマンネリ化してつまらないと感じているが、同じ仕事を考えずに繰り返すことは楽で手放したくない、新しい仕事は覚えることも大変であり、自信もないためできればしたくないとの思いもあるのかもしれません。

そこで最近よく耳にする「リスキリング」について考えてみました。「リスキリング」とは、本来の意味は特に中堅以上の社員の企業における業務に必要な知識やスキルに関する職務能力の再開発を比較的短時間で行うことです。今の業務を遂行するスキルプラスアルファのスキルを身に着け、新たな業務への意欲や自分の強みを認識させることで、より業務に対するモチベーションを上げることを目的として行われ、多くの企業がこのリスキリングの必要性を感じ、取組みを始めています。

ただし、単にリスキリングだけではなく、仕事に向かう姿勢や常に考えて業務を行なうこと、そして業務を通じての近い将来の自分自身のキャリアアップのビジョンを明確に思い描くトレーニングも併せて行う必要があるのだと強く感じます。

人が採れない現実、人件費上昇や諸々のコストアップ、DXやAIへの対応、就業形態の多様化、そして売上や利益が飛躍的に伸びるわけでもない現在の社会状況の中、社員一人一人が効率を考え生産性を上げ、今までの1.5倍の業務量とクオリティを今までと同じ労力で実現できるスキルと考える頭を持たなければ、企業は生き残れないことは火を見るほど明らかなのです。何もほどこさなくても自らスキルを高め新しいことにチャレンジし、また自分の職域を広げていこうと思う社員はほんの一握りです。スキルの高い者にどんどん負荷をかけ、ミスの多い社員にはどうしても軽易な業務しか任せられないという負のスパイラルから抜け出さなければなりません。

リスキリングや業務への取り組み方のトレーニングにより社員に自分の強みを再認識させ、社員のキャリアアップビジョンと業務を可能な限りリンクさせ担当業務をアサインする、または社内の適材適所の実現を考えることにより社員のモチベーションのアップを図ると同時に仕事に向き合う姿勢も受身から、自ら常に考え仕事をデザインする社員に変革させなければなりません。年明けからは社員に対し、毎週このトレーニングを実践していこうと思いを新たにした2022年の瀬でした。

1年間ご愛読ありがとうございました。良いお年をお迎えください。