社会保険労務士法人 トレイン

人事・労務便り
人事・労務のポイント

令和5年の変更事項

2023.2

前回に引き続き令和5年からの制度の変更(今回は健康保険と障害者雇用)についてお知らせいたします。

1月から協会けんぽの届出用紙から給付金の代理受け取りが削除されました

協会けんぽの「傷病手当金」や「出産手当金」の届出書類から「受取代理人」の欄が削除されました。変更となった理由としては、代理受け取り制度を悪用した不正受給が発生したためとされています。実務上、私傷病による休職となった場合、社会保険料や住民税は免除されないため、本人の同意に基づいて、会社が傷病手当金を一旦、協会けんぽから受け取った上で、会社が立て替えている社会保険料や住民税を控除し、残金を社員へ振り込むことを行っていた企業は多くあると思います。

今回の変更で、会社が給付金を代理で受け取ることが出来なくなったため、休職に入る際に、社会保険料・住民税など会社で立て替えている費用の精算方法の取り決めを見直しする必要があります。

また、私傷病の内容によっては、本人と突然連絡がつかなくなった場合の退職手続きや保険料の回収が困難となった際の対応など、よくご質問をいただきます。いざという時の様々なケースを想定して準備されたほうが良いかもしれません。協会けんぽ以外の組合健保にご加入の場合は、各健保組合により対応が異なりますので、ご注意ください。

協会けんぽの健康保険料率の見直しについて

協会けんぽの健康保険料率は、例年3月分(通常、4月支給分給与から控除)から見直しが予定されています。2023年1月13日には東京支部で評議会が開催され、東京支部の令和5年度の健康保険料率は、0.19%引き上げられて9.81%から10.00%になる見込みです。健康保険料率は各都道府県によって異なります。2月中旬には、正確な料率が発表されます。

介護保険料率は全国一律で0.18%引き上げられ1.64%から1.82%に引き上げられる予定です。

例えば、300,000円の標準報酬月額の場合

健康保険料:
29,430円⇒30,000円 570円UP 被保険者、事業主は各285円増
介護保険料:
4,920円⇒5,460円 540円UP 被保険者、事業主は各270円増

協会けんぽ以外の組合健保にご加入の場合は、各健保組合により公表されますので、ご注意ください。給与計算ソフトの保険料率の変更をお忘れなく対応してください。

令和5年度以降の障害者雇用率の引き上げについて

障害者の働く場を確保するために障害者雇用促進法では、企業に対し、従業員に占める障害者の割合を一定以上とすることを義務づけています。この企業に義務づけられている障害者の雇用率について、現在の2.3%となっておりますが、段階的に引き上げを行い、3年後(2026年)に2.7%とすることになりました。

期間 法定雇用率
2023年度 現行の2.3%で据え置き
2024年度から2025年度まで 2.5%
2026年度 2.7%

障害者を最低1人雇用しなければならない民間企業の事業主の範囲について現在は、従業員数43.5人を雇用する企業が対象となっています。2024年度からは従業員数40人、2026年度からは従業員数が37.5人の企業へと対象が広がりますので、各企業の採用計画を検討する機会となりそうです。