社会保険労務士法人 トレイン

人事・労務便り
人事・労務のポイント

マイナンバー制度について その1(マイナンバー制の概要)

2015.04

今回は、平成28年1月1日より、具体的な利用が開始されるマイナンバーについて、その制度の概略を解説します。

1.マイナンバー制とは?

マイナンバー制とは、すべての国民に12桁の個人番号(以下「マイナンバー」という)を指定することにより、社会保障、税、災害対応の分野で、国民の個人情報を効率的に管理しようというものです。例えば、Aさんについて、年金事務所や市役所、税務署など複数の機関が、Aさんの個人情報として保有する複数の情報が、間違いなく同一人物であるAさんの個人情報であることを確認するために活用されるもので、行政を効率化し、国民の利便性を高め、公平・公正な社会を実現するための制度です。平成27年10月からマイナンバーの通知が開始され、平成28年1月から、その利用が開始されます。

2.マイナンバー制のメリット

(1)行政の効率化

行政の効率化としては、例えば、税分野では、市役所に税務署から所得税の確定申告が、民間の企業からは給与支払報告書が、年金保険者からは、公的年金支払報告書などの書類が提出され、市役所で、それぞれ氏名や住所をもとに名寄せが行われ、煩雑な行政事務の発生により効率化が求められていました。また、それぞれの機関が保有する個人情報の表記が異なるために、同一人物の情報として名寄せができないケースもありました。これら各行政機関が保有する個人情報をマイナンバーを利用することにより、情報連携し、情報の照合、名寄せ、転記等に要する時間や事務負担を軽減し、行政手続を効率化することにより、国民の負担の軽減にもつなげるようというわけです。

(2)国民の利便性の向上

国民の利便性の向上として、例えば、今までは扶養家族を国民年金の3号被保険者にする場合や健康保険の扶養に入れようとする場合、年金事務所や健保組合だけでなく、その者の所得証明や生計同一の証明として、市役所を回り非課税証明や住民票を取得し、確認書類として添付する必要がありました。マイナンバー制度の導入後は、このような社会保障や税関係の手続きに、証明書等の添付が不要とされ、手続きにかかる手間や負担が大幅に軽減されます。企業が本人に代わって手続を行う際も、企業の事務負担が軽減されます。また、本人や家族が受けられるサービス情報のお知らせも受け取ることが可能になる予定です。

(3)公平・公正な社会の実現

公平・公正な社会の実現において、マイナンバー制度が始まると、国民の所得状況が把握しやすくなります。それによって税金や社会保障の負担を不正に免れることや生活補助、社会保障による給付等の不正受給の防止や本当に困っている人へのきめ細やかな支援が可能となります。

3.マイナンバーの通知と対象者

今年の10月から、日本国内に住民票を有する人にマイナンバーが通知されます。通知は、住民票の住所に「通知カード」が郵送されます。住民票の住所と違う場所に住んでいる方は注意が必要です。また、外国籍の方でも住民票がある中長期滞在者や永住者なども通知の対象となります。

4.マイナンバーは変更できません

マイナンバーは、一生使用することになり、1人につき1番号で、不正使用の恐れがある場合を除き、本人の希望などで変更することはできません。

次回もマイナンバー制についてです。