社会保険労務士法人 トレイン

人事・労務便り
人事・労務のポイント

改正労働基準法案情報

2015.08

8月号は、今国会で審議されています改正労働基準法の内容についてお知らせします。

1.労働基準法改正の目的

(1)働きすぎ防止のための法制度の整備 及び (2)労働時間に縛られない多様な働き方の実現

我が国の年間総実働労働時間は、平均で1,800時間を下回る水準になったとは言え、これはパートタイム労働者の増加の反映であり、正社員の実労働時間の短縮は実現していません。残業時間が月に80時間を超えるようなケースも少なくないようです。このような長時間労働を法整備によりダイレクトに抑制するとともに、労働時間に縛られず、労働時間ではなく成果等で賃金が決まるような法制度を整備し、全体として長時間労働を抑制するとともに労働者の健康を確保しつつ、賃金的な処遇が維持される多様で柔軟な働き方、仕事と生活の調和のとれた働き方の実現を目指す労働時間制度の見直しが、今回の労働基準法改正の大きな目的と言えます。

2.改正労働基準法の具体的な内容

(1)働きすぎ防止のための法制度の整備

中小企業における月60時間超の時間外労働に対する割増賃金の見直し

現行の労働基準法では、時間外労働に対する割増賃金が月60時間までは125%以上、60時間超は150%以上にすることと定められていますが、月60時間超の150%以上については、中小企業は、その適用を猶予されていました。今回の改正案では、その猶予措置が廃止されるものとなっています。

著しい長時間労働に対する助言指導を強化するための規定の新設

時間外労働に係る助言指導にあたり、「労働者の健康が確保されるよう特に配慮しなければならない」旨、明確に規定されます。

一定日数の年次有給休暇の確実な取得

会社は、10日以上の年次有給休暇が付与される社員に対し、毎年、取得する時季を指定して付与しなければならないこととなります。

企業単位での労働時間等の設定改善に係る労使の取組促進

企業全体を通じて労働時間等設定改善企業委員会の決議をもって、年次有給休暇の計画付与等の要件である労使協定の締結に変えることができます。

(2)労働時間に縛られない多様な働き方の実現

フレックスタイム制の見直し

フレックスタイム制の清算期間の上限が1カ月から3か月に延長されます。清算期間が1カ月を超える場合には、清算期間の1カ月ごとに1週平均50時間を超える労働時間に対し、割増賃金の支払い対象とします。

企画業務型裁量労働制の見直し

企画業務型裁量労働制の対象業務に「課題解決型提案営業(ソリューション営業)」と「裁量的にPDCAを回す業務」を追加します

特定高度専門業務・成果型労働制(高度プロフェッショナル制度)の新設

職務の範囲が明確で一定の年収(少なくとも1000万円以上)を有する社員が高度の専門知識を必要とする等の業務に従事する場合で、健康確保措置等を講じ、本人の同意や委員会の決議等を要件として、労働時間、休日、深夜の割増賃金支給の対象から除外されます。