ストレスチェックについて(その2)
2015.11前回に続き、12月1日より始まるストレスチェック制度について解説します。
1.ストレスチェックの実施事務従事者
実施者(医師、保健師等)の補助(調査票の回収、データ入力など)を担当します。人事に関して直接権限を持つ監督地位にある者は、担当することはできません。また、機微な個人情報を扱うため守秘義務が課せられます。
例えば、実施事務従事者の上司が、ストレスチェックの結果の閲覧を求めても、応じることは許されませんし、そのような要求自体が、違法行為となります。実施事務従事者の担う業務の位置づけや守秘義務について、社内で十分に周知徹底することが必要です。
2.ストレスチェック結果の通知
ストレスチェックの結果は、実施者または実施事務従事者から他の人に見られないよう、封書または電子メール等で社員に個別に直接通知しなければなりません。例えば面談指導が必要な社員に対する通知の仕方が、面接指導の要否が他の者に類推されないように配慮することが必要です。例えば、面接指導が必要と判定された受検者のみ通知の封書が届く方式にすると「面接指導対象者」で「高ストレス者」であるなど周囲に憶測がでることになりかねませんので注意してください。
3.事業者へのストレスチェック結果の提供
会社は、ストレスチェックを受けた社員の同意を得ることなく、ストレスチェックの結果の提供を受けることはできません。社員の同意をとる場合は、実施後に個別に同意確認を得ることが大切です。なお、ストレスチェックを受けた労働者が、会社に対して面接指導の申込を行った場合は、その申し出をもってストレスチェックの結果を会社へ提供することに同意したものとみなすことができます。
- 【禁止】
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ストレスチェックの実施前または実施時の同意取得
受検者全員など一斉にまとめての同意取得(包括同意)
会社は同意の上提供されたストレスチェック結果の記録を作成し、5年間保存しなければなりません。
4.ストレスチェック後の面接指導
(1) 医学上の指導
面接指導では、医師が、社員に対して、1.保健指導(ストレス対処の指導・気付きとセルフケア)2.受診指導(専門機関の受診の勧奨と紹介)を行うことになります。なお、医師については、社員の所属する職場の状況を把握している産業医が実施することが望ましいとされています。
(2) 医師からの意見の聴取
会社は、面接指導をした医師から就業上の措置の必要性の有無、講ずべき措置の内容、その他、必要な措置に関する意見を聞きます。面接指導結果の記録を作成し、5年間保存しなければなりません。
5.労働者に対する不利益な取り扱いの禁止
ストレスチェックを受検しないことや面接指導の申出の有無、それらの結果に基づく不利益な取扱いをしてはなりません。注意しなければならないことは、就業上の配慮が必要とされた社員に対し、就業上の措置について検討することがあります。その際の異動やその他降格、契約変更、退職勧奨、解雇などを行い、ストレスチェックに関連した不利益な取扱いだと主張され社員と紛争になった場合、それが不利益な取扱いではないと立証するのは非常に困難であり、紛争対応で多大な労力を要する可能性があります。このような不利益な取扱いと誤解されないよう、ストレスチェックを人事異動の時期前には実施しないなど実施のタイミングについても検討が必要です。