社会保険労務士法人 トレイン

人事・労務便り
人事・労務のポイント

インフルエンザ・大雪etcによる社員の休業

2016.02

今季一番の寒波が押し寄せるなど、これからが寒さ本番の季節。インフルエンザの流行や大雪などの悪天候による交通機関の乱れなどで社員の欠勤、休業なども予想されます。今回は、そんなときの会社の対応について解説します。

1.インフルエンザやノロウィルスなどの流行にまつわる社員の欠勤、休業

(1)インフルエンザやノロウィルスで社員が会社を休んだ時の対応

この場合は、通常の風邪などによる欠勤と同様の病気欠勤の扱いとなります。ノーワーク・ノーペイの原則から、欠勤した日については給与が支給されないのが一般的です。社員から欠勤の連絡があり、有給休暇を使いたいとの申し出があった場合には、有給休暇を取得させます。欠勤の際に社員から有給休暇取得の申し出がなく、事後に有休消化したい旨の申し出があった場合、認めるかどうかは会社の判断となりますが、可能な限り認めてあげるべきでしょう。

(2)社員がインフルエンザに罹患した場合、どのくらい休ませるべきか?

インフルエンザなど他の社員に感染するような疾病については、社内流行防止の観点から、どのくらい欠勤するかは本人任せにせず、会社として一定の基準を設け感染の可能性がなくなるまで出勤停止とするべきです。インフルエンザの場合、通常解熱から3日間は安静にするよう医師からの指示がありますので、社内のルールとして解熱後、3日間は出勤停止とか、罹患した者は、医師による出勤可の診断書を提出するまでは自宅待機とするなど、就業規則に定めておくことをお勧めします。その間は病気欠勤として無給の扱いとなります。

(3)確定的ではないが罹患が疑われる社員または、罹患する可能性の高い社員を自宅待機にできるか?

業務の内容によっては、確定的でなくても社員にインフルエンザ罹患の疑いがあったり、罹患する恐れが高い環境にいる社員が業務に就くことが、会社にとって重大な支障やリスクを生じるようなケースがあります。このような場合、疑いや可能性だけで社員に自宅待機を命ずることは可能でしょうか?さすがに病気欠勤と同じ扱いはできませんが、就業規則にこのようなケースでは、自宅待機を命じる旨、規定がされていれば休ませることは可能です。この場合、会社都合の休業となり、自宅待機させた日につき会社は平均賃金の6割の休業手当を支払う必要があります。これも就業規則や賃金規程に明記しておきましょう。

2.大雪などの自然災害にまつわる社員の欠勤、休業

(1)大雪による交通機関のマヒにより、社員が出勤できない場合や遅刻した場合の取扱いは?

この場合は社員に出勤の意思があるにも拘わらず、不可抗力で出勤できないわけですので、欠勤や遅刻の例外的措置として通常通り出勤したものとして扱うことが一般的です。事後に出勤できなかった理由の事実確認などを行うケースもあります。

(2)午後から大雪の予報のため、社員を終業時間よりも早めに帰宅させた場合の取扱いは?

このケースも会社の社員に対する安産配慮義務という観点から、早めに帰らせることは正しい判断です。ただし、中には就業する意思のある社員を会社の指示で帰宅させる可能性もあることですので、通常通り勤務したとみなして給与を支払うことが良いと考えます。法律的な観点からいえば、会社都合で一定時間休業させることになりますので、休業させた時間については、平均賃金を時給換算し、その6割の休業手当を支払えばよいことになります。