社会保険労務士法人 トレイン

人事・労務便り
人事・労務のポイント

年末調整におけるマイナンバーの取り扱い

2016.09

今年も早いもので、年末調整の準備に入る季節となりました。年末調整時に給与所得者の扶養控除等申告書に記載してもらうかたちで、初めて社員からマイナンバー(個人番号)を取得するという企業も多いかと思います。今回は、年末調整におけるマイナンバーの取り扱いについて解説します。

1.今年の給与所得者の扶養控除等申告書の変更点

平成28年分の給与所得者の扶養控除申告書より、次の点が変更になっています。

  1. 給与支払者(会社または個人事業主)の企業番号または個人番号を記載する欄ができました。
  2. 給与取得者(社員)本人の個人番号を記載する欄ができました。
  3. 給与所得者の控除対象配偶者や扶養家族の個人番号を記載する欄ができました。

2.給与取得者の扶養控除等申告書の回収にあたり

給与取得者(社員)から個人番号を記載した給与取得者の扶養控除等申告書を会社が回収するにあたり、誤記載による処理の防止のため、個人番号通知カードのコピーを添付してもらうとよいでしょう。また、個人番号が記載された給与取得者の扶養控除等申告書の収集にあたり、マイナンバーカードや免許書など、写真付きの身分書のコピーを添付してもらい、提出者の本人確認を行うことが必要です。扶養家族については、個人番号の記入にあたり提出者の本人確認は給与取得者(社員)が行うことになりますので、会社に足し本人確認のため書類の添付は不要です。

3.給与取得者の扶養控除等申告書への個人番号記載の省略について

給与取得者の扶養控除等申告書によらず、既に別の方法で社員や扶養親族の個人番号を取得管理している企業においても、原則は、今年の給与取得者の扶養控除等申告書に個人番号を記載してもらい回収することになりますが、この場合や企業の個人番号取り扱い担当者が、各社員の給与取得者の扶養控除等申告書を回収し、それに取得済みの個人番号を転記するなどすることになると特定個人情報(個人番号を含む個人情報)をむやみに社内に増やすことになり、情報管理におけるリスクを増やすことになります。既に別の方法で個人番号を取得管理しているケースでは、一定の要件のもと給与取得者の扶養控除等申告書に個人番号を記載することを省略できます。給与取得者の扶養控除等申告書の余白に社員が「個人番号については、既に個人番号管理書類にて提出のとおり」と記載し、会社が既に提供を受けた個人番号を確認した旨の表示をすることにより省略することが可能です。(磁気媒体によるものを含む)を備えている場合も、給与取得者の扶養控除等申告書に個人番号の記載は不要です。

4.来年以降の給与取得者の扶養控除等申告書への個人番号の記載について

来年以降、給与取得者の扶養控除等申告書への記載については、その内容に変更がない場合でも、原則、個人番号の記載の省略はできませんが、前述の3と同様の運用により、個人番号の記載を省略できます。ただし、中途入社の社員で初めて個人番号を取得する社員については記載が必要となりますのでご注意ください。

5.その他年末調整帳票の個人番号の取り扱い

給与取得者の扶養控除等申告書のほか、税務署提出の源泉徴収票にも個人番号の記載が必要になります。給与受給者用の源泉徴収票には、記載は不要ですが、給与支払報告書については個人番号を記載し、各市区町に送ることになります。なお、年末調整の帳簿である保険料控除申告書兼配偶者特別控除申告書については、個人番号の記載は不要となります。

初めての個人番号の運用となる今年の年末調整については、早めの準備をお勧めします。