社会保険労務士法人 トレイン

人事・労務便り
人事・労務のポイント

有期労働契約と労働契約書作成のポイント

2016.11

今月は、有期労働契約の注意点や労働契約書の作成のポイントについて確認します。

1.有期労働契約とその理由

「有期労働契約とは、期間を定めて労働者に労働してもらう労働契約で、原則、一定の期間が経過したら労働契約は終了します。一般的には3か月~1年の期間で有期労働契約を締結する場合が多いようです。

有期労働契約を締結する理由

企業側が労働者と有期労働契約を締結する主な理由として、(1)一定期間発生する業務、一定期間で完成する業務に従事させるため (2)試用期間的に一定期間有期労働契約で労働者を雇入れ、その間で知識やスキル、業務適性、人間性などを判断するため (3)会社の業績や業務量に応じて労働者数や人件費コストを調整しやすくするため などが挙げられます。

2.有期労働契約の更新と終了

前述のとおり有期労働契約を締結するにはいくつかの理由がありますが、(2)または(3)の理由による場合は、有期労働契約期間が満了した際に契約を更新する場合があります。有期労働契約を更新する場合は、雇止めや無期雇用転換など、法令上の制約が生じることに注意が必要です。
有期労働契約の終了には、(1)有期労働契約期間の満了による終了(雇止め) (2)労働者の自己都合意思により終了 (3)解雇による終了 (4)その他死亡などにより終了 などのパターンがあります。

雇止めについて

雇止めとは、有期労働契約を締結している労働者との労働契約を期間満了時に更新せずに終了することを言います。ただし、労働契約法によりつぎのような場合の雇止めについては、解雇と同様の客観的に合理的で社会通念上、相当な理由がない限り認められないことになります。

また、契約更新が3回以上または、契約更新により雇用期間が1年を超えた有期労働契約において雇止めを行う場合は、少なくとも30日以上前に契約終了の予告を行う必要があります。

有期労働契約社員の無期雇用への転換がルール化されました。

平成25年4月以降、有期労働契約が反復更新されて5年を超えたときは、労働者の申し込みにより、期間の定めの無い労働契約へ転換できることがルール化されました。5年を経過する平成30年4月から申し込み期間となります。無期雇用へ転換とは、正規社員に登用するということではなく、無期雇用であれば、その他の労働条件については従前のままでもよいとされています。

3.有期労働契約書その作成のポイント

有期労働契約書作成のポイントは、(1)労働契約期間を具体的な日にちで指定して明記すること (2)契約更新の有無を明記すること (3)契約更新をする可能性がある場合、その基準、更新しない場合の事由を具体的、限定的に列挙しておくこと (3)更新回数の上限を検討し、記載すること (4)雇止めを行う際の予告のルールを明記すること

なお、(1)については、「この業務がなくなるまで」、「この顧客との取引が終了するまで」のような期間設定はできません。また、今回の更新を最後にしたい場合には、更新時の契約書に次回以降更新しない旨を雇用契約書に明記し予告することも必要です。

★平成28年10月1日より最低賃金が改定されます。パートやアルバイトなどの雇用形態にかかわらず、働く人すべてに適用されますので、再確認をお願いいたします。