社会保険労務士法人 トレイン

人事・労務便り
人事・労務のポイント

年次有給休暇(以下、「年休」)の年間5日取得義務について

2019.08

4月からスタートした働き方改革で年休が年10日以上付与される社員について、年5日間は必ず取得させる義務があります。これは、事業規模に関わらず、すべての企業において、対応が必要です。

8月に夏休みを取得させる企業が多いと思いますので、今月は年休の取得方法を確認します。

※パート社員等で、年休が年10日以上付与されない場合は、5日取得義務の対象ではありません。
 有休取得は、(1)会社が時季を指定する方法(2)社員が自ら請求・取得する方法(3)年休の計画的付与の3つの方法があります。

会社が時季を指定する方法 働き方改革で追加された方法です

会社が労働者に取得時季の意見を聴取します。(※聴取した意見を尊重することが求められています)

↓  聴取の方法…面談やメールなど方法に法令上の取り決めはありません。

労働者の意見を尊重し、会社が取得時季を指定します。

↓  例:「○月○日に休んでください」

○月○日に年休取得が成立

※会社が、社員の意見を聞かずに、一方的に有給消化させることはできません。

年休の運用を就業規則に明記し、社員自身、年5日が取得できないことが無いよう周知が必要です。

年休管理簿の備え付け ※3年間保存義務あり

記載する内容 (1)社員が年休を取得した日付 (2)付与日から1年間で取得した日数 (3)年休を付与した日(基準日)

今まで、前年度からの繰り越し分を含めた残日数による管理でしが、取得日数の管理が求められます。

※社員の入社日ごとに法定通りの付与をしているケースでは社員ごとに基準日が異なるため、管理が煩雑となります。そこで一斉に社員に年休を付与する方法もあります。入社一年目については、入社日から起算の付与した有休と会社で定めた一斉付与の年休の2つの基準日の管理に注意が必要です。

年休を確実に取得させるために

→労使協定を結ぶことで、年休のうち5日を超える分について、計画的に年休の取得日を振り分けることができます。部署単位で、夏季休暇・年末年始休暇など計画的に取得させることができます。

※有休を半日単位で取得することでも、年5日取得日数に算入させることができます。ただし、時間単位では算入されませんので、ご注意ください。

その他の注意点

年の途中で休業や休職から復帰した場合でも年休付与日から1年間の間に5日間の年休取得が必要です。例えば、育児休業から復職して、付与日から1年間の期間が1か月しかない場合であっても、その1か月間に5日の年休取得が求められます。

年5日取得義務の年休に関する罰則

年5日の年休取得させなかった場合
※労働者1人につき1罰として取り扱われます。
30万円以下の罰金
会社が時季を指定する方法を採用することを就業規則に規定していない場合 30万円以下の罰金