同一労働同一賃金への対応のために(2)
2019.10同一労働同一賃金への対応についてお問い合わせをいただくことが多くなりました。9月号に引き続き、同一労働同一賃金への対応を厚生労働省で示されているガイドラインをもとに「問題とならない例」をご紹介します。今後は、短時間・有期雇用労働者から待遇差についての説明を求められた場合は、説明義務がありますので、今から準備が必要です。
1.対象となる待遇
基本給 | (1)能力又は経験に応じて支給するもの (2)業績又は成果に応じて支給するもの (3)勤続年数に応じて支給するもの |
---|---|
賞与 | |
手当 | (1)役職手当 (2)特殊作業手当 (3)特殊勤務手当 (4)精皆勤手当 (5)時間外労働手当 (6)深夜労働手当・休日労働手当 (7)通勤手当、出張旅費 (8)食事手当 (9)単身赴任手当 (10)地域手当 |
福利厚生 | (1)福利厚生施設 (2)転勤者用社宅 (3)慶弔休暇、健康診断に伴う勤務免除、受診時間に係る給与の保障 (4)病気休暇 (5)法定外の有休の休暇その他の法定外休暇 |
その他 | (1)教育訓練 (2)安全管理に関する措置及び給付 |
厚生労働省「不合理な待遇解消のための点検・検討マニュアル~パートタイム・有期雇用契約法への対応~」より
手当・休職制度など、現行の短時間・有期雇用労働者の待遇にないものが多くあるのではないでしょうか。
2.待遇差について問題にならない例 厚生労働省「同一賃金同一労働ガイドライン」より
賞与について
正社員Xには、目標値に対する責任を負っており、目標値を達成していない場合、待遇上マイナス査定を課されている。一方、パート社員Yには、目標値に対する責任は負っておらず、待遇上のマイナス査定を課していない。正社員Xに対しては、賞与を支給しているが、Yに対しては、待遇上のマイナス査定を課していないこととの見合いの範囲内で、賞与を支給していない。
→短時間・有期雇用労働者だからという理由だけでは、賞与不支給にはできません。会社への貢献度で支給を決めている場合は、その貢献度に合わせて、賞与の支給を検討する必要が出てきます。
精勤皆勤手当
考課上、欠勤についてマイナス査定を行い、かつ、そのことを待遇に反映する正社員には、精勤手当を支給しているが、考課上欠勤についてマイナス査定を行っていないパート社員Yにはマイナス査定を行っていないこととの見合いの範囲内で、精勤手当を支給していない。
→短時間・有期雇用労働者だからという理由だけでは、手当不支給にはできません。正社員に支給されている各手当の支給目的が何かがポイントになります。
慶弔休暇について
正社員Xには、慶弔休暇を付与しているが、週2日勤務のパート社員Yに対しては、勤務日の振替での対応を基本としつつ、振替が困難な場合のみ慶弔休暇を付与している。
→慶弔休暇や病気休職について、勤務日数に比例した対応が求められます。例えば、正社員には5日付与するところをパート社員には2日付与するなど。
3.最低賃金への対応
9月号でもお伝えしましたが、10月から東京都の最低賃金は、1,013円となります。
最低賃金のUPにより最低賃金割れしてしまうので、時給をUPさせていませんか。最低賃金の改定でUPされる給与では、社員のモチベーションアップは図れません。時給制のパート社員についても会社への貢献度・能力で時給を決定できるよう、賃金制度の検討をお勧めします。弊所では、人事評価制度・賃金制度設計を承っております。