就労条件総合調査について
2020.2就労条件総合調査は、厚生労働省が行う日本の企業の労働時間や賃金などの就労条件の状況についての調査です。今回は、昨年10月29日に公表された調査結果についてみていきます。
≪調査対象・時期等≫常時労働者30人以上の企業6,405社を抽出し、平成31年1月1日現在の状況等について1月に調査を行い、4,127社から有効回答がありました。
平成30年の年次有給休暇取得率は52.4%前年に比べ、1.3ポイント↑UP↑
年次有給休暇の取得率は、企業規模別でみると「1,000人以上」が58.6%、「300~999人」が49.4%、「30~99人」が47.2% 中小規模では人手不足や属人的な業務が多く、年休を取得されると厳しい状況から、まだ、取得率が伸びていないのが現状のようです。この調査結果は、昨年4月よりスタートしている年次有給休暇年5日取得義務が施行となる前の調査です。政府は、過労死等を防止するため、今年は、年次有給休暇取得率を70%以上と目標に掲げています。
インターバル制度の導入状況 3.7%前年に比べ、1.9ポイント↑UP↑
働き方改革の中で注目されている勤務間インターバル制度は終業時間と次の始業時間について、一定の時間(11時間が推奨されています)空けることでプライベートの充実や睡眠時間が確保され、疲労の回復に期待されています。1,000人以上規模で、導入している企業は8.3%と高いですが、全体でみると3.7%に留まっています。制度導入について検討もしていない理由について、(1)超過勤務の機会がなく当該制度を導入する必要性を感じないため(53.0%)(2)当該制度を知らなかったため(19.2%)(3)人手不足や仕事量が多いことから、当該制度を導入すると業務に支障が生じるため(11.3%)などとなっており、まだまだ制度への周知や理解が必要な状況です。勤務間インターバル制度導入での助成金もあり、普及しつつある制度です。政府は、企業導入割合を2020年までに10%以上にすると目標に掲げています。
みなし労働時間制の採用企業割合14.2%前年に比べ、1.7ポイント↓DOWN↓
みなし労働時間制は、固定時間外制度と異なり、労働時間の算定が困難な場合に1日の労働時間を○○時間労働したことと「み・な・す」ことのできる制度です。昨今、「実際の労働時間とみなし労働時間が適正かどうか」「サービス残業となっていないか」「会社が本当に労働時間について把握できない状況なのか」など政府が一斉に調査をしたこともありました。働き方改革の観点からも社内の労働時間について、みなし労働時間制が適正なのかを社内で検討し、廃止している企業もあります。
変形労働時間制の採用企業割合62.6%前年に比べ、2.4ポイント↑UP↑
変形労働時間制は、企業規模別にみても「1,000人以上」が78.4%「300~999人」が69.8%「100~299人」が65.5%「30~99人」が60.4%となっており、どの規模を見ても60%を超えています。何かしらの変形労働時間制を導入し、業務量の変動に柔軟に対応できるように進めているようです。採用されている変形労働時間制の種類別にみると1位「1ヶ月単位の変形労働時間制」2位「1年単位の変形労働時間制」3位「フレックスタイム制」となっています。1ヶ月単位の変形労働時間制は、就業規則に記載するか又は労使協定を締結するかのどちらかで運用することが可能で、労使協定については、届出が不要です。1ヶ月単位なので給与計算と同一の算定期間として運用しやすい制度です。 従業員や新規採用者の求める多様な働き方に今後どう対応するか、今までの業務の方法で今後も対応できるのか、検討する機会が増えそうです。
昨年より本格スタートした働き方改革によって、この「就労条件総合調査」がどのような結果となるのか注目されています。