社会保険労務士法人 トレイン

人事・労務便り
人事・労務のポイント

新型コロナQ&Aと労働基準法他歩改正情報

2020.5

新型コロナの緊急事態宣言が日本全国に出されるなか、終息のめどは見えず、国からの休業補償等についても全く期待できない状況です。コロナはもううんざりではありますが、今回は新型コロナ関連の素朴な疑問をいくつかQ&Aにしてみました。また、4月からの重要な法改正情報を掲載しますのでご確認ください。

新型コロナQ&A

Q1:
新型コロナに社員が感染し、入院療養中です。休業手当の支払いは必要ですか?
A1:
新型コロナに感染すると、指定感染症であるため強制的な入院や各自治体が用意した宿泊施設や自宅での療養が必要となります。これは、都道府県知事が行う就業制限に該当しますので、会社都合の休業とはなりませんから、通常の病気欠勤として扱い、この間は、健康保険の傷病手当金を請求します。
Q2:
新型コロナ感染の可能性があるとして、社員が自主的に仕事を休んだ場合、休業手当は必要か?
A2:
新型コロナ感染の可能性があるとして会社が自宅待機等を指示した場合は休業手当の支払いが必要ですが、社員が自主的に行った場合は、通常の欠勤と同じ扱いとなり休業手当の支払いは不要です。
社員には年次有給休暇の取得を勧めてください。
Q3:
新型コロナで入院や宿泊施設で療養した際の治療費その他の費用負担はどうなりますか?
A3:
通常は公的保険の適用を受け患者は3割負担で医療を受けることになりますが、新型コロナは指定感染症の指定を受けており、医療費や入院費、宿泊施設、食事代など費用は公費で賄われます。一部日用品の使用について費用の自己負担が発生します。
Q4:
会社が社員に出勤を命じ、それが原因で新型コロナに感染した場合、労災の適用は受けられますか?
A4:
業務や通勤に起因する感染と認められれば、労災の適用を受けられます。
Q5:
社員が良く行く飲食店の従業員に感染者が出ました。当該社員も自宅待機さるべきでしょうか?
A5:
念のため自宅待機させることは構いませんが、保健所から濃厚接触者として指示を受けていなければ、会社都合休業として休業手当を支払う必要があります。

(以上 出展:厚労省「新型コロナQ&A」)

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令和2年4月1日法改正情報

労働基準法の改正  賃金請求権等の時効消滅

労働基準法第115条において今まで賃金請求権の消滅時効は2年とされておりましたが、令和2年4月1日からの民法改正の内容にそろえるかたちで、消滅時効が5年に改正されました。当面の間は経過措置として5年を3年に読み替える規程が設けられました。その結果、賃金請求権等の時効は次のとおりとなります。

(1)退職手当(5年)(2)賃金請求権(3年)(3)賃金以外の災害補償(2年)

労働保険料徴収法の改正   64歳以上の被保険者の保険料免除の廃止

今まで雇用保険料は、毎年4月1日現在で満64歳の被保険者については免除されていましたが、この免除が撤廃されます。保険料率は、64歳未満の一般被保険者と同じになります。まもなく労働保険料の申告の時季となりますのでご注意ください。

健康保険法の改正   被扶養者の国内居住要件が新設

今まで健康保険の被扶養者については、一定の者に被保険者との同居要件が設けられていましたが、国内居住の要件は設けられていませんでした。4月から日本国内に住所を有していない者は被扶養者になれなくなりました。なお、日本に居住していれば国籍は問われません。