社会保険労務士法人 トレイン

人事・労務便り
人事・労務のポイント

従業員が自分で申請する休業支援金・給付金について

2020.8

東京都は23日に1日あたりの新型コロナウィルスの感染者数が300人を超え、今後も休業やテレワークを余儀なくされる企業も増えると予想されます。雇用調整助成金も申請から支給決定まで1ヶ月から1ヶ月半で受給できるようになっていますが、一方で時給制のパート・アルバイト等の従業員で、会社の都合で出勤日数や時間が減っても賃金(休業手当)が支給されてないケースが多く、パート・アルバイトの生活を困窮させています。この問題に対し、従業員本人の申請により、支給される「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」の情報が7月7日に公開されましたのでご紹介します。

対象者

4月1日から9月30日までの期間に休業(休業手当の支払なし)した中小企業の労働者

支給額

休業前の1日当たり平均賃金 × 80% ×(歴日数-勤務日数or労働者の事情で休んだ日数)
※一日の支給上限11,000円
雇用保険に加入していない昼間学生のアルバイトの方であっても、給付金の対象となります。
令和2年4月1日以降に新たに雇い入れられた労働者については、雇入れ日から当該日の属する月の翌月末(雇い入れ日が月の初日の場合は当該月末)までの間の休業は対象となりませんが、それ以降であれば対象となります。ただし、休業前賃金が全くない場合は支給対象とはなりません。(※新卒者は除く)
(例えば、4 月 15 日採用の方であれば、6月1日以降が対象となります。)

(厚生労働省HP:新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金 Q&Aより)

申請方法

  1. 従業員:会社の協力を得て申請書を作成(※休業証明を会社から受ける)
  2. 従業員or会社:初めは郵送のみでの受付。今後オンラインでの申請可能予定
    送付先:
    〒600-8799 日本郵便株式会社 京都中央郵便局留置
    厚生労働省 新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金担当
  3. 都道府県労働局にて審査が行われます。内容に応じ、従業員・会社に調査があります。
  4. 従業員本人に支給(不支給)決定通知がされ、本人口座へ振り込まれます。

休業証明

申請に当たって、企業が従業員を休業させ、休業手当を支払っていないことを証明することになります。

仮に従業員が企業に申し出たにもかかわらず、企業が休業証明を拒むようなケースが生じた場合は、従業員は、証明を拒まれたことを申告します。具体的には「支給要件確認書」の事業主欄の事業主名欄に事業主の協力が得られない旨をその背景となる事情とともに記載します。その場合、労働局から事業主に対して確認を求め、事業主から回答があるまでは審査ができないこととなります。したがって、その分申請から支給までに時間を要することになってしまいます。休業させた従業員に休業手当を支払わない場合は、従業員の求めに応じ休業証明をすることが求められます。

注意点

休業手当を受けられない労働者のため、本給付金が設立されましたが、本来、企業が新型コロナウィルス対応で休業させた場合は会社都合の休業となり、休業手当の支払いは法律上義務となります。休業手当の未払いは違法となり、この給付金を受けた労働者を雇用する企業には、後に労基署からの調査を受ける可能性があります。資金繰りが可能な限りこの新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金の前に休業手当支給し、雇用調整助成金を申請されることをお勧めします。