今年行われた法改正、来年以降に行われる法改正のポイントおさらい
2021.11早いもので今年もあと二月ちょっととなります。今回は今年行われた主な法改正、および来年以降行われる大きな法改正のポイントをまとめましたのでおさらいします。就業規則や社内制度の整備、運用がまだできていない場合は、早急に対応する必要があります。
今年行われた法改正
1 子の看護休暇・介護休暇の時間単位取得(2021年1月1日施行)
半日単位で取得可能であった子の看護休暇・介護休暇が時間単位で取得可能になりました。
取得は1時間から会社の所定労働時間までの範囲で、1時間単位となります。始業時刻から連続で、または終業時刻まで連続取得が可能で、中抜けはなしとなります。
2 障害者雇用率の引き上げ(2021年3月1日適用)
民間企業の障害者雇用率が2.2%から2.3%に引き上げられました。43.5人以上の従業員がいる企業で1人障害者を雇用する必要があります。対象となる企業は、毎年6月1日現在の障害者の雇用状況をハローワークに報告しなければなりません。従業員数101人以上の企業で、法定雇用率が未達成の場合は、不足人数1人につき月額5万円のペナルティ(障碍者雇用納付金)が徴収されます。
3 中小企業にも「同一労働同一賃金」の適用開始(2021年4月1日適用)
2020年4月から大企業に適用が開始された「同一労働同一賃金」の中小企業への適用が2021年4月からスタートしました。中小企業も正規社員、非正規社員間での不合理な待遇格差が禁止となり、職務内容や責任の重さ等が同じであれば同じ処遇(均等待遇)を、職務や責任の重さ等が異なる場合は、その差に応じた処遇(均衡待遇)をしなければなりません。
派遣労働者については、派遣先の同種の業種に従事する標準的な労働者の賃金と同等以上であるか、または同種の業種に従事する世間一般的な労働者と比べ、派遣労働者の賃金が同等以上であることが求められます。
4 70歳までの社員の就業確保が努力義務に(2021年4月1日施行)
現在、65歳までの雇用継続が義務化されていますが、70歳までの社員についても就業確保措置をとることが企業の努力義務となりました。70歳までの雇用義務化に着々とむかっております。
就業確保措置とは具体的に次の措置を言います。
- 70歳定年制
- 定年制の廃止
- 70歳まで再雇用などで雇用継続
- 70歳まで継続的に業務委託契約を締結
- 70歳まで会社が行う社会貢献活動事業に従事
- 70歳まで会社が委託または出資した団体が行う社会貢献活動に従事
5 中途採用比率の公表義務化(2021年4月1日施行)
常時雇用する労働者数が301人以上の企業については、求職者が容易に閲覧できる方法により直近3事業年度において雇用した中途採用者の比率を公表することが義務化されました。
2022年1月以降改正予定の主な内容
来年以降も次のような法令改正が予定されています。盛りだくさんの内容ですが、次号以降で解説させていただきます。
- 65歳以上の複数就業者の雇用保険適用
- 中小企業のパワハラ防止措置義務化の適用
- 在職老齢年金の支給停止基準額の引き上げ
- 短時間労働者の社会保険適用範囲の拡大
- 一般事業主行動計画の策定・届出、情報公開義務の対象企業拡大
- 在職定時改定の新設