今年行われた法改正、来年以降に行われる法改正のポイントおさらい No.3
2022.12022年に向けて法・制度改正情報の第3弾をお届けします。今回は、社会保険の適用拡大についてです。
社会保険適用拡大
2022年10月から健康保険法、厚生年金保険法の改正により、短時間労働者(以下「パート等」といいます)について被保険者となる者の対象範囲が拡大されます。
1 現在の健康保険・厚生年金保険の適用者
現時点で適用事業所(法人、個人の事業所で社会保険に任意加入している事業所)に勤務するパート等は、次の要件に該当する場合、健康保険、厚生年金保険の被保険者となります。
従業員数500人以下の適用事業所
所定労働時間・日数が、正規の従業員の所定時間・日数の3/4以上の者(正社員の勤務時間が週40時間であれば、週30時間以上勤務している者)は、健康保険、厚生年金の被保険者になります。
従業員数500人超の適用事業所(次のいずれにも該当する場合、被保険者となります)
- 週の所定労働時間が20時間以上の者
- 1年以上継続して雇用がみこまれる者
- 賃金の月額が88,000円(年収106万円)以上である者
- 学生(夜間学生は除く)でない者
2 2022年10月からの適用拡大
現行の適用範囲が2022年10月より従業員数500人を超える事業者から100人を超える事業所に拡大されます。また適用の要件も次のとおり変更されます。
従業員数100人超の事業所(次のいずれにも該当する場合、被保険者となります)
- 週の所定労働時間が20時間以上の者
- 2か月以上継続して雇用がみこまれる者
- 賃金の月額が88,000円(年収106万円)以上である者
- 学生(夜間学生は除く)でない者
3 2024年からの適用拡大
2で記載しました適用範囲が従業員数100人超の事業所から50人超の事業所に拡大されます。
適用拡大への企業の対応
1 現状把握と周知
適用拡大によりどのくらい対象になるパート等がいるか把握し、拡大による適用対象者が社会保険に加入することにより、どの程度保険料負担が増えるかシミュレーションを行いましょう。
そして社会保険の適用拡大について、短時間労働者に周知説明を行います。
2 雇用契約更新に向けての対応
2022年10月までに雇用契約の更新を迎えるパート等の労働時間について、本人の希望も加味した検討が必要です。扶養範囲内での勤務を希望する場合は、契約更新では労働時間を短くするなどの調整が必要です。逆に会社の保険料負担が重くなる場合は、会社側から時間短縮をお願いする必要も出てきます。労働時間を減らすことで人手不足に拍車がかかる恐れもあり、今からの検討準備が求められます。
3 行政の調査対応
来年の適用拡大にあたり、現行制度でパート等の適正加入についての調査が強化されています。現行制度の加入要件を再度確認し、調査で未加入を指摘され、遡及加入を指導されないよう注意しましょう。未加入者がいる場合は、指摘を受ける前に将来に向かって加入させることをお勧めします。