2024年4月から裁量労働制の運用が変わります
2023.112024年4月から労働基準法施行規則の一部改正に伴いまして、専門業務型裁量労働制、企画業務型裁量労働制の運用(導入・継続の手続)が変わります。今回は、特に導入企業の多い専門業務型裁量労働制の変更点について解説します。
1.専門業務型裁量労働制とは?
専門業務型裁量労働制とは、業務の性質上、業務遂行の手段や方法、時間配分等を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要がある業務として、厚生労働省令で定められた19業務(2024年4月から20業務)の中から、対象となる業務を労使で定め、労使協定であらかじめ定めた時間を労働したものとみなす制度です。この制度を導入するには、労働者の過半数で組織する労働組合または労働者の過半数を代表する者との書面による協定を締結し、所轄労働基準監督署長へ届出をすることが必要になります。
2.2024年4月から裁量労働制適用労働者の同意を得る必要があります!
今まで制度の導入要件にありませんでしたが、対象労働者から専門業務型裁量労働制の適用についての同意を得ることが必要となります。併せて専門業務型裁量労働制に関する労使協定及び協定届に同意を得ること、同意しない場合に不利益な取扱いをしないこと、同意の撤回の手続きや同意や撤回の記録の保存などを定めなければならなくなります。
3.労使協定及び協定届に定めなければならない事項
(※赤字が2024年4月から追加される事項)
- 制度の対象とする業務
- 労働時間としてみなす時間(みなし労働時間)
- 対象業務遂行の手段や時間配分の決定等に関し、使用者が対象労働者に具体的な指示をしないこと
- 対象労働者の労働時間の状況に応じて実施する健康・福祉を確保するための措置
- 対象労働者からの苦情の処理のため実施する措置
- 制度の適用にあたって労働者本人の同意を得ること
- 制度の適用に労働者が同意をしなかった場合には不利益な取扱いをしないこと
- 制度の適用に関する同意の撤回の手続
- 労使協定の有効期間
- 労働時間の状況、健康・福祉確保措置の実施状況、苦情処理措置の状況、同意及び同意の撤回の労働者ごとの記録を協定の有効期間中及びその期間満了後5年間(当面は3年間)保存すること
※ 2024年4月からの「専門業務型裁量労働制に関する協定届」の様式掲載のURLです。
4.裁量労働制の対象とできる業務(※2024年4月より対象業務が追加されます)
「銀行または証券会社における顧客の合併および買収に関する調査または分析およびこれに基づく合併および買収に関する考案および助言の業務」が2024年4月より対象業務に追加されます。
※ その他、19の対象業務については以下のURLよりご確認いただけます。
https://www.mhlw.go.jp/general/seido/roudou/senmon/index.html
5.その他、改正事項
健康・福祉確保措置に「勤務間インターバルの確保」、「深夜労働の回数制限」「労働時間の上限措置(一定の労働時間を超えた場合の制度の適用除外)」、「一定の労働時間を超える対象労働者への医師の面談指導」が追加されました。