2024年4月から労働条件明示のルール変更について
2024.012024年も種種の法令や制度の改正が予定されております。11月号で労働基準法施行規則の一部改正に伴う専門業務型裁量労働制、企画業務型裁量労働制の運用(導入・継続の手続)ルールの変更をご案内しましたが、今回は社員に対する労働条件明示ルールの変更点について解説します。
1.労働条件の明示とは?
労働基準法および労働契約法では、会社は労働契約の締結(雇入れ時および契約の更新時)に際し、社員(有期雇用社員も含む)に対し、賃金、労働時間その他の労働条件を書面で明示しなければなりません。
書面で必ず明示しなければならない事項は、つぎの通りです。
- 労働契約期間
- 有期雇用契約の更新の有無と更新をする場合の基準
- 労働契約時の就業の場所および従事する業務の内容
- 始業・終業時刻、所定時間外労働の有無、休憩時間、休日、休暇ならび就業時転換に関する事項
- 賃金(月次給与の決定、計算及び支払いの方法、締め日・支払日、給与改定に関する事項)
- 賞与の有無、計算及び支払いの方法、支払日などに関する事項
- 退職金の有無、決定や計算方法などに関する事項
- 退職(定年その他、退職の事由、退職の手続、解雇など)に関する事項(解雇の事由を含む)
- 労働条件等についての相談窓口(※有期労働契約社員についてのみ)
2.2024年4月から次の明示事項が追加されます。
前記1の書面で明示すべき事項に、2024年4月から次の4つの項目が新たに追加されます。
- (1)
- 就業場所・業務内容の変更の範囲
- (2)
- 労働契約更新の上限
- (3)
- 有期雇用社員の無期転換申込みの機会について
- (4)
- 無期転換後の労働条件
(1)「就業場所・業務内容の変更の範囲」とは?
雇入れ時の就業場所、業務の内容だけではなく、その後の転勤や配置転換、業務の変更について想定される範囲を、雇い入れ直後とそれ以降の変更の範囲に分け、それぞれ記載しなければならなくなります。
(2)「労働契約更新の上限」とは?
有期労働契約を更新する場合は、更新の基準などのほか、
(3)(4)「無期転換申込みの機会」「無期転換後の労働条件」とは?
有期雇用社員の雇用期間が5年に達し、または当該更新により5年を超えることが明らかとなった場合には、当該更新にかかる有期労働契約期間中に無期転換の申込権が有期雇用社員に発生しますので、この権利があることを会社側から積極的に更新時の労働条件通知書で明示しなければならなくなります。
併せて、無期転換した場合の労働条件を「無期転換後の労働条件は、本契約と同じ」、「労働時間を〇〇、賃金を〇〇円に変更する」などと明示しなければなりません。
3.制度変更の趣旨
今回のルール変更により、同一労働同一賃金の原則に基づく、転勤、配置転換等の社員の責任の程度を
明確にし、また、有期労働者の無期転換を促進することを目的としています。
以上、ご不明な点がございましたらトレインまでお問い合わせください。
2023年もお世話になりありがとうございました。2024年も引き続きよろしくお願いいたします。