社会保険労務士法人 トレイン

人事・労務便り
人事・労務のポイント

テレワーク勤務の見直し(廃止?継続?)について

2024.05

新型コロナウイルスの感染拡大防止のために導入したテレワーク勤務(以下「テレワーク」)のあり方について、見直しをしている企業が増えています。テレワークは、通勤の時間を削減でき、ワークライフバランスの実現のためメリットを感じる社員は多いです。一方で企業側としては、出社しないことによる社員間のコミュニケーションが不足し業務上の些細な質問が出来ず、生産性が下がるなど課題が生じています。見直した企業の一例として、ホンダではテレワークを廃止し原則週5日出社へ切り替え、楽天グループでは、週3日出社を週4日出社に変更したことは話題になりました。

テレワークを見直す時の注意点

働く場所を決めるのは会社ですが、テレワークを廃止、縮小しても問題ないでしょうか。他社もテレワークをやっているからと期限を決めずにテレワークを始めてしまった場合、理由なしにテレワークを中止することは、労働条件の不利益変更になる可能性があります。テレワークをメリットと感じる社員は非常に多いです。通勤に伴う心身的負担が軽減でき、削減できた通勤時間でプライベートを充実したいと考えています。テレワークが出来ないのなら、テレワークがある企業に転職しようと考えることも多く、優秀な人材が流出する可能性があります。採用においても、テレワークできるかどうかが求職者の企業を選ぶポイントの一つとなっています。また、テレワークは対人ストレスの軽減にも役に立っていた面もあり、出社することによる対人ストレスを感じる社員も出てくる可能性があります。

テレワークの見直し方

見直しについて、厚生労働省は労使間で話し合って変更することが望ましいとしています。社員の働き方を把握し、会社にとってテレワークを継続する目的を明確にすることをお勧めします。コロナ対策で一時的に「テレワークをすること」が目的になっている場合、会社は「何を目的にテレワークするのか」を決めることで、テレワークのルールは決まってくるのではないでしょうか。例えば、育児・介護の両立のためであれば対象者、対象期間、出社頻度など目的に合ったルール作りができます。一気にテレワークを廃止すると社員からの抵抗があるため、テレワークと出社を組み合わせたハイブリットワークを導入している企業は多いです。テレワークを1日でもキープすることで、ワークライフバランスにも配慮し、今後、新型コロナウイルスのような不測の事態にも企業活動をストップさせない対策が可能となります。採用の際にもハイブリットワークの導入企業として求人が可能です。ハイブリットワークでも社内ルールの整備は必須です。テレワークは、会社(上司)の目から離れた環境で仕事をするため、社員から提出された成果でしか評価できません。テレワーク時の業務指示を明確にし、会社が求めていた業務をテレワーク下でも対応できているか、不明点が出てきたときに誰に確認をしたらいいのかなど、業務をスムーズに行えるルールをあらかじめ定めることが重要です。テレワークでは成果が上がらない社員もいるなか、テレワークは外されることを労働条件の不利益変更と主張する社員もいます。個別の社員のテレワークの適用除外事由を具体的に就業規則やテレワーク規程に定めておかれると良いでしょう。

テレワークでよくあるご質問

社内で次のようなテレワーク希望を聞いたことはないでしょうか。働き方改革が進む中、自分も希望すれば、当然にテレワークが認められると誤認する社員がいます。以下のような通常勤務(出社して業務すること)が出来ないケースは、テレワークの制度があったとしても会社が認める必要はありません。